紙芝居を使った日本語の授業
In Japanese class for foreign people with Kamishibai
In Japanese class for foreign people with Kamishibai
学生たちの協働作業。困難あり笑いあり。
日本語で伝えるのが楽しい!発音がよくなった!
日本語授業に紙芝居を取り入れることの効果、楽しさについて、詳しくまとめています!
(紙芝居の概説~紙芝居を使った日本語教育まとめ・実践)
(紙芝居を使った日本語授業の詳しい内容・ビデオ)
(となみん先生、留学生、仲間たちの紙芝居ビデオ)
~第二言語習得における主体的・対話的・協働的学び~
主催:公益社団法人千葉市国際交流協会
概要:
地域の日本語教育に関わる皆さんを対象に、「紙芝居」とはどういうものか、日本語教育の現場でどのように活用できるか、その特性と効果、実践例などを紹介し、参加者のみなさんも一緒に紙芝居体験をしていただきました。
実施日:2026年2月4日
場 所:千葉市国際交流プラザ会議室
参加者:千葉市国際交流協会の日本語ボランティアさん、つなぎて講座受講生、協会日本語教室の日本語教師等 30名
参加者の皆様の感想:
●地域の日本語教室で紙芝居でラーニングを実践することは難しいが、もっとmultimodal な授業を心がける必要を感じた。
● 一つの単語、話からイメージするものは個々に違うということに改めて気づいた。
● 学習にもメリハリが必要なので、上手く今日のような工夫を採り入れていけたら良いと思いました。
● いきなりやり方がわからず、グループ内であれやこれやと最初は戸惑いましたが、それも含めて活動の一 部、という考え方に共感しました。
●単に日本語を読むだけでなく日本文化等に学習者が興味を持ってもらえれば素晴らしい。
●学習者へ与える作業によって、とても能動的な学習活動が生み出せることに気づくことができました。
●自分たちで考えて行動することの重要さを改めて感じた。
●自主的対話的だけでなく協働的な活動することで言語習得に効果的であることが分かった。
●学校などで多くの外国人の子供たちを対象として日本語を指導している先生にとっては、楽しく興味深く取り組めると思います。
●紙芝居を作る作業の中で学生たちが 協力し合い生き生きしていた。
●紙芝居の完成度が高いし面白かった。
●学校という密度の濃い環境で授業の一環として取り組めるのは良いと思う。
●日本語教育に紙芝居を用いる威力は想像をはるかに超えていた。
●私は教えた経験がないので一般人としての視点だったが、とても引き込まれた。
●紙芝居には多くを引き出すパワーがある。
●学習者を評価するとき主体性、主体的、と言う言葉を使っていたが、それは予習を自ら進んでやったり、発 話が多いことだったりした(漠然としていた)。紙芝居を作って演じることで、強く深く後押しされて主体性が発揮できるのがわかった。
●学習者が作れる、演じる、に至るまでの支援者の準備、工夫も大切だと思 いました。
● 同じ「山」という言葉でも学習者の文化的背景で思い浮かべる「山」のイメージは違う。
●先生の話やスライドショーが分かりやすくとても楽しかった。
●これからも、このような新しい視点から の日本語学習の方法があれば、教えて欲しい。
●色々な工夫でより効果的な学習ができる事を知りました。
●学生のころ、知っている日本の昔話を英語にして紙芝居を作るという課題をグループで取り組み、夢中になったことを思い出しました。
●紙芝居を通して、学習者達が日本語の学習に意欲的に取り組むものと思いました。
●紙芝居を作るところからの協働内容に驚きましたが、学習者が観たり実際に演じたりする中で、絵という共通の情報を通して、其々が自分の持ち味を活かしながら能動的に表現して相手に伝えたいという意識が芽生える素晴らしさを知りました。また、リレー方式の練習で参加者が協働することにより、互いに楽しみながら言語習得や各々の文化背景を自然に学べるなど、紙芝居には多くの利点や可能性があると感じました。
●紙芝居を学習者がグループで協力し合うことで、母語を交えながら日本語の学習に繋がり自信を持ち前向きになれること。
●日本語教師養成講座での模擬授業では、視覚に訴える教材としてPowerPointを使用していたが、教師からの一方通行になりがちで、対話的なやりとりに苦労した経験がある。本講座で子ども向けの教材と思い 込んでいた紙芝居が、対話的なやりとりはもとより、学習者にとって四技能(聴く、話す、読む、書く) 全ての効果を得られる事を知り目から鱗だった。
●講師の紙芝居を抜く時の速さの工夫や読み方の声色の違い等、大変勉強になり、あっという間の2時間だった。
●日本語学習と紙芝居の相性のよさに驚きました。
●芝居を演じることが外国語学習に役に立つこと、好きなこと楽しいことは、がんばって話したくなる、書きたくなるものだ…といった断片的に考えていたことを一気にひとつにまとめて提示された思いです。劇的でした。
●紙芝居の現代的位置づけ、日本語学習におけるポテンシャルの大きさ『カタカナでかんじ』『どうぶつかくれんぼ』等の紙芝居の面白さ、既存の紙芝居は難しすぎるという問題を乗り越えた「チームにほんご紙芝居」 の努力・工夫の素晴らしさ
●ただ読み聞かせをするよりも、紙芝居という媒体を使うと学習者は目を輝かして、次に何が起こるのかワクワク感を抱かせる。
●紙芝居をする当事者は、登場人物になって話さなければならないので工夫が必要だと感じました。
実施日:2026年1-3月(週に1回50分授業/全8回)
場 所:インターカルト日本語学校
参加者:日本語学校の学生(中上級レベル)10名
授業内容:
ねらい
①プレゼンテーションには欠かせないパフォーマンス力をつける(聴衆とのインターアクションを意識する)
②登場人物になりきって、様々な声を考え、実践する。(声に気持ちを乗せる)
③作品の登場人物の心情や物語のメッセージなどについて意見交換をする(深読みする)
手順:
第1回
1.紙芝居の歴史、紙芝居の構造をスライドで紹介
2.『耳なし芳一』実演
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」語彙
第2回 『山田先生の大問題』練習
第3回 『山田先生の大問題』発表、『ねこ岳温泉』練習
第4回 『ねこ岳温泉』練習
第5回 『ねこ岳温泉』発表
『うらしまたろう』練習
第6回 『うらしまたろう』練習、発表
第7回 最終日の担当決め、練習
第8回 お客さん(先生や3階スタッフ)の前で発表、事後アンケート
学生の様子:
練習中
・声の高さ、スピードなど、お互いに指摘し合っていた。
・練習中は笑い声が絶えなかった。ある学習者は、「授業中、こんなに笑ったことはない。笑ってもいいんですか?」と聞いてきたほど。
発表
・恥ずかしいと言いながらも、前に出ると堂々と演じていた。
・間違えないように読まなくてはならないと思い、シナリオに目がいってしまい、聴衆のほうを見ることはまだまだむずかしい。
物語の内容について
・『うらしまたろう』…女性グループ:「乙姫がなぜ玉手箱を渡したのか」で、自然に議論が発生していた。
乙姫は太郎に竜宮城を継承してもらいたい。それに相応しい人物かどうか試すために、玉手箱を渡した。開けないで戻ってきたら、信頼ができる。しかし、戻ってこなかったら、現実に気づかせる。
男性グループ:「いやだ!おじいさんになりたくない。自分だったら、絶対に玉手箱を開けないで、カメの背中に乗って竜宮城に戻りたい。なぜ乙姫が玉手箱を渡したのかは、わからない。女性はなぞだ」
・早めに来ていた午後の学生が飛び入り参加で、学生たちの発表を見た。「すばらしい!すごい!」と言っていた。
最終日アンケート
①目標(プレゼンテーション力を伸ばす、発音が上手になる)が達成できた 平均8(10点満点)
②たくさんの人の前で話す自信がついた
少し(4人) はいとても(6人)
③紙芝居は日本語の勉強に役に立つと思うか
・ストーリーを考えながら日本語で話す練習ができた
・スムーズに読めるようになった
・人前で自分を表現できる
・役を演じて話すのは効果的だ
・会話の練習ができる
・いろいろな話し方を学べた
・感情を入れて話すこと
・日本人の言い方を理解する
④この授業を受けて変化したこと
・面白い声が出せるようになった
・日本語を話す自信が少しついた
・話す時、感情を込めるようになった
・普段、ときどきセリフを使うようになった
・前より話し言葉っぽくなった
・変化なし(4人)
最終発表会に来てくれた先生の感想
・絵は止まっているのに、アニメのように動いて見えた
・それぞれが声の工夫をしていてよかった
・ナレーションもよかった
・みんな役になりきっていた
・ただ読むのではなく、感情を入れていてよかった
・紙芝居の「抜き方」、着ぐるみのカメさんの登場や、指輪の交換など、学生たちが自分たちで考えたエンターテインメント演出が楽しかった
・演じるキャラの気持ちがよくわかった。ストーリーが心に沁みた
紙芝居「ねこ岳温泉」練習風景
紙芝居「ねこ岳温泉」発表
紙芝居「うらしまたろう」発表
実施日:2026年3月6日
(ホームクラスの会話授業日の50分×2コマ)
場 所:インターカルト日本語学校
参加者:日本語学校の学生(初級後半レベル:みんなの日本語L46まで済)15名
ねらい
①紙芝居を知り、声に気持ちを乗せることを体験。
②会話のシナリオを作ることによって、文型の復習をする。
手順
1.『ねこ岳温泉』実演
2.紙芝居の歴史、構造を口頭で説明
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」意味
6.前に出て発表(希望グループ、希望者のみ)
(休憩)
7.『ももたろう』練習
8.シナリオ配布 グループで読み合わせ(役割分担方式)
9.「紙芝居がなぜ日本語の勉強に役立つか」説明(声に気持ちを乗せる。犬の「ワン」のいろいろ)
10. 『できる日本語』の2課(買い物)の絵を見せて、場面を説明
11.グループでシナリオ作り セリフ中心
課題:表現形式「~そうですね」「~てみてもいいですか」「~にくいです」「~やすいです」を使う
(授業時間が足りなくなってしまって発表まではいけなかったので、翌週授業内に時間が取れないか、ほかの曜日担当の先生に相談)
今後の課題
・しっかり時間をとり、4コマの紙芝居に仕上げる
(絵は棒人間でよい。セリフ中心のやりとりを重視したシナリオを完成させる)
・発表、フィードバックまでできるとよい。
学生の様子
第1回目
紙芝居活動中
・全員が身を乗り出して紙芝居実演を見ていた。
・練習中はお互いに演じ方を指摘し合っていた。
・休み時間も練習していた。
・普段あまり発言のない学習者も積極的だった。
-私によく話しかけてきた。目が生き生きしていた。
-1週間前に「子どものころ」を話題にして、対話した。「懐かしいなあ」を導入して、会話練習。
-紙芝居を見て、子どものころの人形劇や影絵を思い出し、「懐かしいなあ」と言っていた。(螺旋を描く学習)
・今後もInstagram、YouTubeで見たいという声多数。
語彙の確認・・・「よくばり」は「ばか」「頭が悪い」という意味ではないかと言っていた。
「なまいき」は、意味の想像もつかず、辞書で調べていた。
オノマトペ・・・意味も読み方も難しそうだったけど、楽しそうに「ボッチャーン」と言っていた。教師の発音の援助が必要。
シナリオ作り活動「買い物」
・グループごとにどの店に行くかを自由に決定(ペットショップ、酒屋、中華料理屋)し、それぞれの表現形式を使って楽しい会話を作っていた。
例:ペットショップで「あの猫、こわそうですね」「この金魚、さわってみてもいいですか」。酒屋で「このお酒、飲んでみてもいいですか」。
・自然に、シナリオを書く担当、絵を描く担当が出て、思い思いに話し合っていた。
実践しての感想・今後の課題
・初めての紙芝居で、文章の縦読みが初めての学生が多く、息継ぎの位置などに苦戦していた。
・場面転換にまだ慣れてなくて場面と場面の間が空いてしまうので、練習とリードが必要。
・学生たちがとにかく楽しそうだった。放課後わざわざ教務室へ来て、「今日の授業は楽しかったです!」と言ってくれた学生がいた。
・紙芝居活動後、教科書の復習・会話づくり活動を行ったが、普段より生き生きと活発なやりとりや積極性が見られた。
はじめての紙芝居「よくばりな犬」
第2回目
やり方・感想
・16人を3グループにわけて、あらためて1時間練習して発表した。
・最初声も小さく、ナレーションなどもたどたどしくて大丈夫かな?と思ったが、練習するうちに声はどんどん大きくなり、1人の男子学生が動物の声色を使うのがみんなに聞こえて、他の人達もどんどんキャラクターを声に乗せようとする雰囲気になった。
・1時間後には、読み方もスムーズになり、声(おじいさん、おばあさん、たろう、動物たち、鬼、ナレーション)の出し方も各自キャラに寄せていて感心した。
・オノマトペの感じもつかんで、生き生きと言っていた。
・クラスメイトがいつもと違うキャラを演じているのがおもしろく、みんなとても集中して見て、クスクス笑ったりしていた。終わったときは大きな拍手!
今後
・意味がいまいち腑に落ちてない言葉はちょっと弱弱しい言い方になっていたので、未習語彙には特に気を付けて、練習前/練習中に気づいてあげられるといいなと思った。
声の演じ分けがすごい!
実施日:2026年3月8日 2時間
場 所:東京都千代田区三番町(悠々人オフィス)
参加者:チームにほんご紙芝居メンバー(日本語教師)4名、ワンさん(日本語学校学生、目的別紙芝居授業参加経験あり、日本語学習歴1年以上)
ねらい
紙芝居の脚本を作って、演じてみよう。
手順
1.2グループ別れる
2.イソップ寓話「うさぎとカメ」の絵5枚を使用して、シナリオを考える。セリフを中心に(20分ほど)
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」の意味
6.前に出て発表(希望グループ、希望者のみ)
発表
Aチーム:うさぎが丁寧な言葉遣い
Bチーム:うさぎがカメを応援するという新しい視点
活動の様子・感想・課題
・発音に苦手意識があるけど、紙芝居だとできるような気がする(学習者)
・いろんな声を出すのは難しいけど、楽しい(学習者)
・ウサギが声をかけたのか、カメが声をかけたのか、そもそも論の食い違いもあり、議論が必要だった。それも紙芝居作りのおもしろさだと感じた。
・キャラクターの設定が人によって違うので、グループで一つの物語を作っていく難しさがあったが、それも協働学習ならではの醍醐味だと感じた。
・あらかじめ絵があり、それにシナリオを作っていく方法は時間的によい。
・絵の裏面にシナリオを貼るのも簡単でよかった。
・中級の学生(中国出身)の学生さんだったので、スイスイ書くことができた。脚本として成立させるためにチームにほんご紙芝居のメンバー(日本語教師)と学生がいっしょに取り組んだが、どこまで学生のもともとの言葉づかい(個性)を生かすべきか、文脈を考慮して自然な言い方をアドバイスすべきか、その塩梅がむずかしい。教師1人1人の考え方の違いもあり、学生自身の満足度も見極めながら有意義なやり方を模索していきたい。
作戦会議
これはどんな場面かな~?
練習&発表!役を変えて2回できた。
実施日:2026年3月13日
(ホームクラスの会話授業日の50分×2コマ)
場 所:神田外国語学院
参加者:学生21名・教員1名・ゲストスピーカー1名
ねらい
「日本語で楽しくつながる悠々人」の交流活動の一つ紙芝居を紹介する。
演じてもらって、日本語が少しでもうまくなったという印象を持ってもらう。
紙芝居って面白いという印象を持ってもらう。
実施
1)日本語で楽しくつながる悠々人の紹介
悠々人の名称を文節ずつ、理解の確認
つながる・悠々人(アクションと実際の行動で紹介。山田・太田で掛け合いをしたりアクションをしたりしながら実施)
活動の一つとして、「紙芝居」を取り上げることを伝える。
2)紙芝居実演 実施 山田あき子
『びんぼ~びんぼうだいはんじょう』
脚本 となみゆりこ 絵 かみおかのりみ
3)声出し練習(一音の発音と抑揚)・ウォーミングアップ
対話例(写真・下)を用いて実施
実施方法
①対話例一文ずつ 読みせ合わせ
段階1 学生は一文ずつを担当し輪読
②音声練習 五十音 口の開け方中心
③対話例一文ずつ 読みせ合わせ
段階2 学生は一文ずつを担当し輪読
④山田のサンプルに続いてコーラス
4)紙芝居 リレー方式
2チームで同一の紙芝居を実施
実施紙芝居『ももたろう』脚本 齋藤美幸 絵 池田あきつ
実施方法・・1面ずつ担当しリレー
脚本部の配り方・・着席時に番号カード(1〜12)を配布。脚本部配布の時にその番号の面を渡した。
3)グループごとに練習
話の流れを理解してもらうための時間が取れなかったため、紙芝居全部の面を教室の白板に貼った。
4)グループごとに2回の練習時間が取れた。
グループ内で演出の様子が見られた。
5)紙芝居の全部の面を貼った白板の前で実演
参加者の様子・感想
・皆、それなりに乗って脚本が読めていた。
・上手な人がいた。その人は甥や姪に読み聞かせをしている
と後で話してくれた。
・読みにくそうだったが、オノマトペは楽しんでいた。
・キャッ などが読みにくそうだった。
・グループ内での演出の活動が見られた。
・日本語が上手になったようだという感想もあった。
次に向けて
・縦書き読み練習の充実
・キャッの読みにくさは縦書きによるかと思われるので、事前の対話練習にキャッキャッなどを入れてくとよかった。
・せっかく『ももたろう』を2セット持って行ったので、本番では紙芝居舞台に入れて実施してもよかったかと思う。
本番に入る時点で全時間20分だったので思案したが、フィードバック時間もとりたかったので紙芝居舞台使用は割愛した。
・対話例を使った声出し練習に15分とっていたが、それぞれのセリフは短いものだったが、4巡したこともあって、時間が取られた。
・授業の性質(学校での位置付け・目標・目的など)と使用時間と焦点をどこに当てるかを勘案した授業計画を立てる。
対話例P1
対話例P2
(都内日本語学校)
実施日:2026年3月18日(ホームクラスの会話授業日の50分×2コマ)
場 所:インターカルト日本語学校
参加者:日本語学校の学生(初級レベル:みんなの日本語L18まで学習済)11名
ねらい
紙芝居を知り、声に気持ちを乗せることを体験する。
手順
1.『ももたろう』実演
2.紙芝居の歴史、構造を口頭で簡単に説明
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」の意味
6.前に出て発表(希望グループ、希望者のみ)
7.『ねこ岳温泉』実演
学生の様子
紙芝居活動
・全員が身を乗り出して紙芝居実演を見ていた。
・紙芝居の構造を知るワーク(ミニ版紙芝居の絵を脚本を自分たちで組み合わせる作業)は、頭を使う作業で、みんな真剣だった。
・できた紙芝居のシナリオを読むのは、ちょっと大変そうだった。(初級クラスの学生には、ミニ版では字が小さすぎた)
・イソップ寓話を知らない学生が多く、「よくばりな犬」は難しいようだったが、最後まで読んで意味がわかったときは、嬉しそうだった。
・実に楽しそうに「ボッチャーン」と言っていた(オランダ人)。英語の「SPLASH」とは違うイメージだったようで、ジェスチャーで、体全体で物が落ち、水しぶきが上がる様子を表現していた。
・怖そうにドスのきいた声を出すのを面白がっている学生がいた。学習者のやさしい声しか聞いたことがなかったので、学習者のドスのきいた声を聞くのは私にとってもとても新鮮だった。
・普段あまり発音が上手ではないと思われている学生さん(年齢が高い中国人)が、とても表情が豊かで、みんなが「上手!」と驚いていた。本人は照れながらも嬉しそうにしていた。
・ハミングを口笛に変え、犬の気持ちを表している学生もいた。普段とてもおとなしい学生(イタリア人)
・縦書きを読むのが初めてで、はじめ左から読んでしまう学生がいた(オーストラリア人)。
・ナレーションと犬の声をはっきり言い分けている学生もいた。
・みんなに推されて、全部を1人で発表した学生がいた。最初は恥ずかしそうにしていたが、みんなの期待に応えようとしてか、最終的には初めてとは思えないほど、とてもいい演技になっていた。
◎紙芝居の活動で毎回思うこと◎
学習者の普段は見ることができない一面が出る
例:大人しい学生が大きな声を出す
真面目そうな学生がお茶目に振舞う
高い声には無縁そうな男性が高い声を出す
やさしい感じの男性がドスのきいた声を出す
その他思ったこと
「よくばり」「なまいき」という語が難しかったようなので、それがなくてもいいと思った。例えば、「よくばりはダメですね。」→「もっとほしい!もっとほしい!・・よくないですよね。」に変換するなど、初級学生でもわかる言葉で表現できる可能性を感じた。そうすれば、もっとセリフに気持ちを乗せ、短い練習時間でもそれを自分の言葉として言えるのではないだろうか。日本語を習って日が浅くても、楽しんで日本語で表現できる超ビギナー向け紙芝居も作ってみたい。
実施期間:2024年~2025年
対象校 :KEN日本語学院(千葉県松戸市)
対象者 :全学年の全学生
0.紙芝居活用のきっかけ
日本語の力の成果発表のため、卒業試験の1つとして全学生がスピーチの発表
⇒ 学生が増え全学生での発表 会が困難になる
⇒ 全員に発表の機会を作るためグループで紙芝居の発表(市販の昔話は難)
⇒ 日本語レ ベルに合わせ日本語学習者用の本の朗読発表 ⇒ 学生減で全員スピーチ発表【悠々人で紙芝居関連講座授業】
⇒ 2023年度国籍別グループによる紙芝居作成・発表
1.授業計画
2月20日(木)の卒業発表会で全グループが発表、卒業試験として評価 国籍別のチームで、自国の昔話等を題材にして紙芝居を作成・発表
授業時間は2時限×8~9回(主に聴解会話・作文の授業)、以下の流れで進める。
2.授業
⓪紙芝居導入
第1学期(4月~6月)に1クラス2時間(45分×2)
教師の実演 ⇒グループに分かれて練習 ⇒発表
◇グループ分け、配役は教師が決めておく。
◇原文をそのまま使用、書き換えはしない。
◇前年度2月に卒業発表会で先輩の発表を見学。
①クラス全体で流れの確認
グループ分け:教師が指定
動画で留学生の作品紹介し、目標を示して意識付け--【参考動画】Youtube「となみん紙芝居」
②グループに分かれて題材を決める
事前に紙芝居にしたいと思う母国の昔話や民話を探してくるように指示。
③あらすじメモを作成する
母語でも可、グループ全員で内容を確認させる。
④絵コンテ(8分割)を書く
あらすじメモをベースにどの部分で切るか、どんな絵にするかを考えさせる 長さではなく、話の展開を優先して考えるよう指導、絵は簡単なもので文字使用のメモでも可。紙芝居であることを意識して台本と絵の組み合わせを考えさせる。
★教師が8場面の内容を聞き取り、教師用8コマメモを作成 今後の作業分担の指導の資料となるので8場面の構成がわかるようにメモ。
⑤台本を書く
⑥イラストを描く
分担して作業をすすめさせる。
台本:文体、セリフ等に注意して書くよう指導、完成後教師がワード入力し学生に確認・修正させる。
イラスト:8枚の原案を作成、配色も決める→教師の確認→下書き(A4サイズ画用紙)
⑦台本の分担を決める
原則学生に決めさせるが、量のバランス、発音矯正が難しい場合は変更をアドバイスする。
⑧発表練習
⑨色付け作業
発表の練習と同時に絵に色を付ける作業を進めさせる。
絵の具の使用は時間を決めて教師の指示のもと行う、完成後B4サイズに拡大し画用紙に貼り付け。
発表時の立ち位置、紙芝居を抜く・拍子木などの担当も決めさせる。
3.紙芝居の発表
公共のホールを借りて卒業発表会を実施。スピーチ部門(代表学生)と紙芝居部門(全員)
1年目の学生全員で見学。
舞台上の紙芝居は全員には見えないので、紙芝居の絵をスキャンで取り込み、ステージ上のスクリーンに映す。
4人以上のグループはスクリーンの左右に分かれてマイクの前で発表。
後日教室でクループ別に教室でビデオ撮影。
卒業式で優秀者を表彰。
4.紙芝居授業における注意・工夫・課題
*グループ構成・・メンバーが午前クラスと午後クラスに分かれている班の授業調整、同国の学生がいない 場合の対策
*複数の教師で担当・・引継ぎ・情報共有の難しさ
*けじめをつける・・開始時、終了時にクラスで出席確認、学生に机の移動・整理をさせる、スマホ使用・ 母語使用は監督教員の許可制
*ステージでの発表・・絵をスクリーンに映すと、半分引くなどの紙芝居のよさが出せない
【報告会参加者からの質問】→軍司先生
Q:学生さんたちの様子はどうでしたか?
→本番は120%の力を出していた。演じる指導より、通じる発音指導に力を入れた。(例:スマホの音声入力で練習→うまく入力できない学生は自分で発音の弱点に気づき、それからは自分から練習するようになった)
Q:評価はどのように?
→発表パーフォーマンス5点+内容5点=10点満点
取り組み度は担任が評価
反省点:マイク前の立ち位置練習ができず
Q:題材選びの際に、聴衆を意識していたか?
→「自国のことを日本人に伝える」のが目的と伝えた
【報告会参加の感想・実践経験の共有】
H先生(千葉県の日本語学校、クラス担任)
・「紙芝居は簡単にできるだろう」と思っていたが考えが変わった。指導者の片岡(となみ)先生から苦労話が聞けてよかった。
・担任としては、子供向けのテンションと、パフォーマンスの「入りと出」をポイントに指導した。特に挨拶の仕方についてアドバイスをした。
・本番は別人のようで、学生たちはとても生き生きとしていた。
M先生(都内日本語学校 非常勤講師)
・観客がいることの大切さを知った。
・紙芝居の教育的効果を改めて知ることができてよかった。
D先生(都内日本語学校 日本語教師)
・試行錯誤なさっていることを知り、いろんな驚きがあった。
・子どもが集中力を切らさないで紙芝居を聞いていたというのはすごい!
・紙芝居利用へのイメージがわいた。
T先生(専門学校)
・実践における「よくなかった点」を聞けてよかった。
・自分も実践に取り組もうと考えているが、最初から発表の場を持つべきだという意義がよくわかった。できるかどうかわからないがやってみたい。
Mさん(台湾出身、インターカルト日本語学校卒業生)
・紙芝居はすごくいいと思った。
A先生(オンラインで日本語教育)
・国際交流基金の日本語パートナーズでも文化紹介をやった経験がある。
・紙芝居もとてもいいアイテムだということが今日わかったので、国際交流基金にリコメンドしようと思う。
・以前、古切手を使った絵を学習者に作らせたことがある。すごい芸術作品がができた。もしよかったら、まだ段ボール箱にいっぱいあるので、利用してください、提供します。
山田(悠々人主催・チームにほんご紙芝居)
・紙芝居が持っている力をもっと広めていきたい。
紙芝居は学習者の能力を十分に発揮でき、また能力を目覚めさせる力も持っている。
紙芝居の活用法を広く発信していきたい。
M先生(オンラインで日本語教育)*オンライン参加
・母(齋藤美幸)が紙芝居、紙芝居とよく言っているが、その効果があまり理解できていなかった。今日のお話を聞いてさまざまな可能性を知ることができた。
・自分はオンラインでしか関われないので、どうすればオンラインでも、紙芝居の力を十分に学習に生かせるかを考えていきたい。
M先生(都内日本語学校 非常勤講師)*オンライン参加
・演じるということが、プレゼンテーションやスピーチの能力にどうつながるかもっと聞きたかった。
・保育園での取り組みの素晴らしさを聞いて、老人施設でも活用できるのではないかと感じた。
O先生(都内日本語学校 常勤講師)*オンライン参加
・教室での録画を見て、普段とは違う学生の姿を目の当たりにして、ちょっとびっくりした。紙芝居は学習者の持てる力を引き出す面がとても大きいと思った。
概説「紙芝居」とは?
→ みんなで読んでみよう!
→ みんなで作ろう!
→ 発表‼
→ 地域との交流
講師:齋藤美幸(日本語教師、チームにほんご紙芝居)
~日本にルーツのある海外の高校生にむけて、紙芝居を使っての日本語授業~
■学生たちの感想
・紙芝居には、いろいろな工夫がしてあり、おもしろいと思いました。たとえば、一枚一枚抜きがちがって、次の一枚につながっているのがすごいと思いました。(1年生)
・紙芝居の歴史や始まりが聞けておもしろかったです。絵本の読み聞かせのようにただ読むのではなく、演技や感情、間などを適度に使いながら読むのがすごいと思いました。(1年生)
・皆の前で演じるのが楽しかった。それに、漢字が少なくて、言葉が簡単だったので誰でも読むことができて、好きだった。(1年生)
・紙芝居には、聞き手が分かりやすくお話が伝わるように、たくさんのくふうがあってびっくりしました。(2年生)
・すごく楽しくて、たくさん学びました。この学びを生かして、紙芝居を楽しくやりたいと思います。(2年生)
・紙芝居の歴史や日本独特のものだと知ってびっくりしました。ただ文章を読んだり登場人物になりきって読むだけではなく、間を考えるというところに感心しました。せっかく習ったので、子どもたちの前でどんどんやってほしいな。
・先生のアドバイスで、2回目の紙芝居はすごく上手でした。
・諸外国では紙芝居はポピュラーなのか気になりました。(保護者)