紙芝居を使った日本語の授業
In Japanese class for foreign people with Kamishibai
In Japanese class for foreign people with Kamishibai
学生たちの協働作業。困難あり笑いあり。
日本語で伝えるのが楽しい!発音がよくなった!
日本語授業に紙芝居を取り入れることの効果、楽しさについて、詳しくまとめています!
(紙芝居の概説~紙芝居を使った日本語教育まとめ・実践)
(紙芝居を使った日本語授業の詳しい内容・ビデオ)
(となみん先生、留学生、仲間たちの紙芝居ビデオ)
実施日:2026年1-3月(週に1回50分授業/全8回)
場 所:都内日本語学校
参加者:日本語学校の学生(中上級レベル)10名
授業内容:
ねらい
①プレゼンテーションには欠かせないパフォーマンス力をつける(聴衆とのインターアクションを意識する)
②登場人物になりきって、様々な声を考え、実践する。(声に気持ちを乗せる)
③作品の登場人物の心情や物語のメッセージなどについて意見交換をする(深読みする)
手順:
第1回
1.紙芝居の歴史、紙芝居の構造をスライドで紹介
2.『耳なし芳一』実演
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」の意味
第2回 『山田先生の大問題』練習
第3回 『山田先生の大問題』発表、『ねこ岳温泉』練習
第4回 『ねこ岳温泉』練習
第5回 『ねこ岳温泉』発表、『うらしまたろう』練習
第6回 『うらしまたろう』練習、発表
第7回 最終日の担当決め、練習
第8回 お客さん(先生や3階スタッフ)の前で発表、事後アンケート
学生の様子:
練習中
・声の高さ、スピードなど、お互いに指摘し合っていた。
・練習中は笑い声が絶えなかった。ある学習者は、「授業中、こんなに笑ったことはない。笑ってもいいんですか?」と聞いてきたほど。
発表
・恥ずかしいと言いながらも、前に出ると堂々と演じていた。
・間違えないように読まなくてはならないと思い、シナリオに目がいってしまい、聴衆のほうを見ることはまだまだむずかしい。
物語の内容について
・『うらしまたろう』…女性グループ:「乙姫がなぜ玉手箱を渡したのか」で、自然に議論が発生していた。
乙姫は太郎に竜宮城を継承してもらいたい。それに相応しい人物かどうか試すために、玉手箱を渡した。開けないで戻ってきたら、信頼ができる。しかし、戻ってこなかったら、現実に気づかせる。
男性グループ:「いやだ!おじいさんになりたくない。自分だったら、絶対に玉手箱を開けないで、カメの背中に乗って竜宮城に戻りたい。なぜ乙姫が玉手箱を渡したのかは、わからない。女性はなぞだ」
・早めに来ていた午後の学生が飛び入り参加で、学生たちの発表を見た。「すばらしい!すごい!」と言っていた。
最終日アンケート
①目標(プレゼンテーション力を伸ばす、発音が上手になる)が達成できた 平均8(10点満点)
②たくさんの人の前で話す自信がついた
少し(4人) はいとても(6人)
③紙芝居は日本語の勉強に役に立つと思うか
・ストーリーを考えながら日本語で話す練習ができた
・スムーズに読めるようになった
・人前で自分を表現できる
・役を演じて話すのは効果的だ
・会話の練習ができる
・いろいろな話し方を学べた
・感情を入れて話すこと
・日本人の言い方を理解する
④この授業を受けて変化したこと
・面白い声が出せるようになった
・日本語を話す自信が少しついた
・話す時、感情を込めるようになった
・普段、ときどきセリフを使うようになった
・前より話し言葉っぽくなった
・変化なし(4人)
最終発表会に来てくれた先生の感想
・絵は止まっているのに、アニメのように動いて見えた
・それぞれが声の工夫をしていてよかった
・ナレーションもよかった
・みんな役になりきっていた
・ただ読むのではなく、感情を入れていてよかった
・紙芝居の「抜き方」、着ぐるみのカメさんの登場や、指輪の交換など、学生たちが自分たちで考えたエンターテインメント演出が楽しかった
・演じるキャラの気持ちがよくわかった。ストーリーが心に沁みた
紙芝居「ねこ岳温泉」練習風景
紙芝居「ねこ岳温泉」発表
紙芝居「うらしまたろう」発表
実施日:2026年3月6日(ホームクラスの会話授業日の50分×2コマ)
場 所:都内日本語学校
参加者:日本語学校の学生(初級後半レベル:みんなの日本語L46まで)15名
ねらい
①紙芝居を知り、声に気持ちを乗せることを体験する。
②会話のシナリオを作ることによって、文型の復習をする。
手順
1.『ねこ岳温泉』実演
2.紙芝居の歴史、構造を口頭で説明
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」の意味
6.前に出て発表(希望グループ、希望者のみ)
(休憩)
7.『ももたろう』練習
8.シナリオ配布 グループで読み合わせ(役割分担方式)
9.「紙芝居がなぜ日本語の勉強に役立つか」説明(声に気持ちを乗せる。犬の「ワン」のいろいろ
10. 『できる日本語』の2課(買い物)の絵を見せて、場面を説明
11.グループでシナリオ作り セリフ中心
課題:表現形式「~そうですね」「~てみてもいいですか」「~にくいです」「~やすいです」を使う
(授業時間が足りなくなってしまって発表まではいけなかったので、翌週授業内に時間が取れないか、ほかの曜日担当の先生に相談)
今後の課題
・しっかり時間をとって、4コマの紙芝居に仕上げる
(絵は棒人間でよい。セリフ中心のやりとりを重視したシナリオを完成させる)
・発表、フィードバックまでできるとよい。
学生の様子
第1回目
紙芝居活動中
・全員が身を乗り出して紙芝居実演を見ていた。
・練習中はお互いに演じ方を指摘し合っていた。
・休み時間も練習していた。
・普段あまり発言のない学習者も積極的だった。
私によく話しかけてきた。目が生き生きしていた。
1週間前に「子どものころ」を話題にして、対話した。「懐かしいなあ」を導入して、会話練習。
紙芝居を見て、子どものころの人形劇や影絵を思い出し、「懐かしいなあ」と言っていた。(螺旋を描く学習)
・今後もInstagram、YouTubeで見たいという声多数。
語彙の確認・・・「よくばり」は「ばか」「頭が悪い」という意味ではないかと言っていた。
「なまいき」は、意味の想像もつかず、辞書で調べていた。
オノマトペ・・・意味も読み方も難しそうだったけど、楽しそうに「ボッチャーン」と言っていた。教師の発音の援助が必要。
シナリオ作り活動「買い物」
・グループごとにどの店に行くかを自由に決定(ペットショップ、酒屋、中華料理屋)し、それぞれの表現形式を使って楽しい会話を作っていた。
例:ペットショップで「あの猫、こわそうですね」「この金魚、さわってみてもいいですか」
酒屋で「このお酒、飲んでみてもいいですか」
・自然に、シナリオを書く担当、絵を描く担当が出て、思い思いに話し合っていた。
実践しての感想・今後の課題
・初めての紙芝居で、文章の縦読みが初めての学生が多く、息継ぎの位置などに苦戦していた。
・場面転換にまだ慣れてなくて場面と場面の間が空いてしまうので、練習とリードが必要。
・学生たちがとにかく楽しそうだった。放課後わざわざ教務室へ来て、「今日の授業は楽しかったです!」と言ってくれた学生がいた。
・紙芝居活動後、教科書の復習・会話づくり活動を行ったが、普段より生き生きと活発なやりとりや積極性が見られた。
はじめての紙芝居「よくばりな犬」
第2回目
やり方・感想
・16人を3グループにわけて、あらためて1時間練習して発表した。
・最初声も小さく、ナレーションなどもたどたどしくて大丈夫かな?と思ったが、練習するうちに声はどんどん大きくなり、1人の男子学生が動物の声色を使うのがみんなに聞こえて、他の人達もどんどんキャラクターを声に乗せようとする雰囲気になった。
・1時間後には、読み方もスムーズになり、声(おじいさん、おばあさん、たろう、動物たち、鬼、ナレーション)の出し方も各自キャラに寄せていて感心した。
・オノマトペの感じもつかんで、生き生きと言っていた。
・クラスメイトがいつもと違うキャラを演じているのがおもしろく、みんなとても集中して見て、クスクス笑ったりしていた。終わったときは大きな拍手!
今後
・意味がいまいち腑に落ちてない言葉はちょっと弱弱しい言い方になっていたので、未習語彙には特に気を付けて、練習前/練習中に気づいてあげられるといいなと思った。
声の演じ分けがすごい!
実施日:2026年3月8日 2時間
場 所:東京都千代田区三番町(悠々人オフィス)
参加者:チームにほんご紙芝居メンバー(日本語教師)4名、ワンさん(日本語学校学生、目的別紙芝居授業参加経験あり、日本語学習歴1年以上)
ねらい
紙芝居の脚本を作って、演じてみよう。
手順
1.2グループ別れる
2.イソップ寓話「うさぎとカメ」の絵5枚を使用して、シナリオを考える。セリフを中心に
(20分ほど)
3.作成活動『よくばりな犬』のミニ版を配布、裏表に注意して貼る
4.グループで『よくばりな犬』の実演(一人1枚リレー方式)2,3回
5.全体で内容の確認
「よくばり」「なまいき」「ボッチャーン」の意味
6.前に出て発表(希望グループ、希望者のみ)
発表
Aチーム:うさぎが丁寧な言葉遣い
Bチーム:うさぎがカメを応援するという新しい視点
活動の様子・感想・課題
・発音に苦手意識があるけど、紙芝居だとできるような気がする(学習者)
・いろんな声を出すのは難しいけど、楽しい(学習者)
・ウサギが声をかけたのか、カメが声をかけたのか、そもそも論の食い違いもあり、議論が必要だった。それも紙芝居作りのおもしろさだと感じた。
・キャラクターの設定が人によって違うので、グループで一つの物語を作っていく難しさがあったが、それも協働学習ならではの醍醐味だと感じた。
・あらかじめ絵があり、それにシナリオを作っていく方法は時間的によい。
・絵の裏面にシナリオを貼るのも簡単でよかった。
・中級の学生(中国出身)の学生さんだったので、スイスイ書くことができた。脚本として成立させるためにチームにほんご紙芝居のメンバー(日本語教師)と学生がいっしょに取り組んだが、どこまで学生のもともとの言葉づかい(個性)を生かすべきか、文脈を考慮して自然な言い方をアドバイスすべきか、その塩梅がむずかしい。教師1人1人の考え方の違いもあり、学生自身の満足度も見極めながら有意義なやり方を模索していきたい。
作戦会議
これはどんな場面かな~?
練習&発表!役を変えて2回できた。
実施日:2026年3月13日(ホームクラスの会話授業日の50分×2コマ)
場 所:神田外国語学院
参加者:学生 21名・教員1名・ゲストスピーカー1名
ねらい
「日本語で楽しくつながる悠々人」の交流活動の一つ紙芝居を紹介する。
演じてもらって、日本語が少しでもうまくなったという印象を持ってもらう。
紙芝居って面白いという印象を持ってもらう。
実施
1)日本語で楽しくつながる悠々人の紹介
悠々人の名称を文節ずつ、理解の確認
つながる・悠々人(アクションと実際の行動で紹介。山田・太田で掛け合いをしたりアクションをしたりしながら実施)
活動の一つとして、「紙芝居」を取り上げることを伝える。
2)紙芝居実演 実施 山田あき子
「びんぼうびんぼうだいはんじょう」
脚本 となみ ゆりこ 絵 かみおか のりみ
3)声出し練習(一音の発音と抑揚)・ウォーミングアップ
対話例(写真・下)を用いて実施
実施方法
①対話例一文ずつ 読みせ合わせ
段階1 学生は一文ずつを担当し輪読
②音声練習 五十音 口の開け方中心
③対話例一文ずつ 読みせ合わせ
段階2 学生は一文ずつを担当し輪読
④山田のサンプルに続いてコーラス
4)紙芝居 リレー方式
2チームで同一の紙芝居を実施
実施紙芝居『ももたろう』脚本 齋藤美幸 絵 池田あきつ
実施方法・・1面ずつ担当しリレー
脚本部の配り方・・着席時に番号カード(1〜12)を配布。脚本部配布の時にその番号の面を渡した。
3)グループごとに練習
話の流れを理解してもらうための時間が取れなかったため、紙芝居全部の面を教室の白板に貼った。
4)グループごとに2回の練習時間が取れた。
グループ内で演出の様子が見られた。
5)紙芝居の全部の面を貼った白板の前で実演
参加者の様子・感想
・皆、それなりに乗って脚本が読めていた。
・上手な人がいた。その人は甥や姪に読み聞かせをしている
と後で話してくれた。
・読みにくそうだったが、オノマトペは楽しんでいた。
・キャッ などが読みにくそうだった。
・グループ内での演出の活動が見られた。
・日本語が上手になったようだという感想もあった。
次に向けて
・縦書き読み練習の充実
・キャッの読みにくさは縦書きによるかと思われるので、事前の対話練習にキャッキャッなどを入れてくとよかった。
・せっかく『ももたろう』を2セット持って行ったので、本番では紙芝居舞台に入れて実施してもよかったかと思う。
本番に入る時点で全時間20分だったので思案したが、フィードバック時間もとりたかったので紙芝居舞台使用は割愛した。
・対話例を使った声出し練習に15分とっていたが、それぞれのセリフは短いものだったが、4巡したこともあって、時間が取られた。
・授業の性質(学校での位置付け・目標・目的など)と使用時間と焦点をどこに当てるかを勘案した授業計画を立てる。
対話例P1
対話例P2
概説「紙芝居」とは?
→ みんなで読んでみよう!
→ みんなで作ろう!
→ 発表‼
→ 地域との交流
講師:齋藤美幸(日本語教師、チームにほんご紙芝居)
~日本にルーツのある海外の高校生にむけて、紙芝居を使っての日本語授業~
■学生たちの感想
・紙芝居には、いろいろな工夫がしてあり、おもしろいと思いました。たとえば、一枚一枚抜きがちがって、次の一枚につながっているのがすごいと思いました。(1年生)
・紙芝居の歴史や始まりが聞けておもしろかったです。絵本の読み聞かせのようにただ読むのではなく、演技や感情、間などを適度に使いながら読むのがすごいと思いました。(1年生)
・皆の前で演じるのが楽しかった。それに、漢字が少なくて、言葉が簡単だったので誰でも読むことができて、好きだった。(1年生)
・紙芝居には、聞き手が分かりやすくお話が伝わるように、たくさんのくふうがあってびっくりしました。(2年生)
・すごく楽しくて、たくさん学びました。この学びを生かして、紙芝居を楽しくやりたいと思います。(2年生)
・紙芝居の歴史や日本独特のものだと知ってびっくりしました。ただ文章を読んだり登場人物になりきって読むだけではなく、間を考えるというところに感心しました。せっかく習ったので、子どもたちの前でどんどんやってほしいな。
・先生のアドバイスで、2回目の紙芝居はすごく上手でした。
・諸外国では紙芝居はポピュラーなのか気になりました。(保護者)